地方財政 local finance 2004 2 23

 財政赤字については、国の財政が話題になりますが、
地方の財政については、あまり話題になりません。
しかし、国の財政よりも、地方の財政の方が深刻とも言えます。
 こう言うと、すぐに、
公共工事を減らせという議論になるかもしれません。
しかし、地方財政を建て直すには、
たとえ、公共工事をゼロにしても、それほど、効果がないのです。
 たとえば、都道府県の予算で見てみましょう。
都道府県の予算の概要は、インターネットで見られます。
 それぞれの都道府県の実情によって、バラツキはありますが、
予算の中で、最も、大きな比率を占めているのは、給与費なのです。
その給与費の中で、最も、大きな比率を占めているのは、学校関係です。
ほかの予算は、細目別に分けると、それほど大きくないのです。
つまり、予算の中で、
最も、大きな比率を占めていて、突出している予算は、
学校関係の給与費です。
 ですから、公共工事を、10%や20%程度、削ったところで、
大勢に影響ないのです。
学校関係の給与費を改革しないと、財政再建は困難です。
 さて、人件費について、学校と似たような話があります。
今は、制度が変わりましたので、昔話となったかもしれません。
 昔は、福祉施設では、経営の失敗が、よくありました。
福祉施設では、国などから、施設の経営資金をもらえるのですが、
この算定基礎は、施設の入所者の定員数でした。
 施設が開所して当初は、施設経営は黒字となります。
開所当時は、職員も若く、給与費が、あまり、かかりませんので、
施設経営は、場合によっては、大きく黒字となります。
そこで、施設の経営者は、つい、強気になって、
理想に燃えて、いろいろなものに、「設備投資」をするのです。
 ところが、施設が開所して、10年経ち、20年経ってくると、
当然、職員の給料も、上昇します。
しかし、国などからの施設の経営資金は、
施設の入所定員で算定されていました。
当然、施設経営は、赤字となっていくのです。
開所して、30年も経つと、職員の給与も、30年間上昇しますので、
給与費用も、30年間、増大していくわけです。
 施設開所当時に、
理想に燃えて、いろいろなものに、「設備投資」をした結果と、
毎年、長期に渡って、増えていく人件費で、
施設の経営者は、大いに悩むことになるのです。
 そこで、悩んだ末に、経営者は決断するのです。
高給取りとなった職員をクビにして、若い職員を採用するか、
施設の経営危機を説明して、入所者の家族から、寄付金をお願いするか。
さすがに、今は、制度が改正されて、こういう問題は改善されたと思います。
 しかし、こういう悩みは、施設特有のものです。
施設では、予算、つまり収入が決まっており、固定的なものに近い状態でした。
しかし、職員の給与は、10年、20年と、上昇していきます。
施設開所時は、職員の平均年齢が25歳でも、
施設が開所して、30年も経てば、職員の平均年齢は、55歳になる可能性もあります。
 会社であれば、このような悩みは、なかったのです。
施設と同じく、会社設立時に比べて、社員の人件費は増えていきますが、
その分、売上高を拡大させれば、問題ありません。
 ところが、会社にも、施設と同じ悩みが発生しそうです。
それは、「少子化」というものです。
少子化→人口減少→市場規模の減少→企業の売上高の減少→給料の減少。
 みんな、少子化について、真剣に考えていません。
しかし、「少子化=給料の減少」です。
 発展途上国においては、人口増加は、いろいろな悩みにつながりますが、
先進国においては、人口増加は、繁栄を意味します。
逆に、先進国において、人口減少は、衰退を意味します。

















































































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